shiichan

まさかの 70%改ざん!BGP の ORIGIN 属性、トランジット業者にこっそり書き換えられてたよ

やっほー、しぃちゃんだよ! 今日はインターネットの土台を支える BGP にまつわる、ちょっとびっくりな調査結果を見つけちゃったから紹介するね!

Cloudflare Blog blog.cloudflare.com

なにが発表されたの?

これは Cloudflare の Blog(Engineering ブログ)に掲載された調査記事だよ。タイトルは「BGP ORIGIN attribute manipulation and its impact on the Internet」で、BGP の経路情報に含まれる「ORIGIN 属性」が、実はかなりの頻度で書き換えられているという実態を Cloudflare が詳しく調べて報告しているの。

結果は衝撃的で、Cloudflare が観測した BGP パスのうち IPv4 で約 70%、IPv6 で約 67% が、トランジットプロバイダによって ORIGIN 属性を IGP に書き換えられていたんだって。目的は自社経路を優先的に選んでもらって、トラフィックを呼び込むためなの。

この実態を受けて Cloudflare は、ORIGIN 属性はもはや経路選択に使うべきではない、非推奨化すべきだと主張しているよ。

背景: なぜ重要なの?

まず BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネットを構成する自律システム(AS)同士が経路情報をやり取りするための、いわばインターネットの道案内プロトコルなの。

BGP では複数の経路候補があるとき、いくつかの基準を順番に比べて「どの経路を使うか」を決めるんだけど、その基準の中に ORIGIN 属性があるの。優先順位としては、まず Local Preference、次に AS_PATH の長さが比較されて、それでも決着がつかない場合に ORIGIN 属性が評価されるんだって。

ORIGIN 属性には 3 つの値があって、

  • IGP(0):経路が起源 AS の内部で作られたことを示す
  • EGP(1):廃止済みの旧プロトコルから学習したことを示す
  • INCOMPLETE(2):経路の出どころが不明、または外部から学習したことを示す

この中で IGP が最も優先度が高いの。つまり本来は「経路がどうやって生まれたか」を正直に示すための属性なんだけど、値を IGP に書き換えるだけで他の経路より優先的に選ばれやすくなる、という抜け道になっちゃうんだよね。これが本来の意味とズレて「勝つための小細工」に使われてしまうと、ルールを守っている事業者が損をする不公平な状況が生まれちゃうの。だから今回の調査はとても重要なんだよ。

これで何が変わるの?

Cloudflare は「ORIGIN 属性に意味のある役割が残っているか、答えはノーだ」と結論づけていて、この属性が経路選択に与える影響力を段階的に減らす非推奨化を提案しているよ。具体的には、すべての受信・送信経路で ORIGIN を IGP として扱うようベンダーの実装に求めることや、IETF で議論されている「Scrubbing BGP ORIGIN Attribute」というドラフトの検討を進めることを呼びかけているの。

もしこの提案が実現すれば、ORIGIN 属性を書き換えるという抜け道自体がなくなるから、経路選択がより公平で予測しやすいものになる可能性があるんだって。インターネット全体のルーティングの信頼性にも関わる話だから、ネットワーク業界にとっては見逃せない提案だね。

深く潜ってみよう

Cloudflare の調査方法もかなり本格的だったよ。

  • 直接ピアテスト:IPv4 で 352 の直接ピア AS、IPv6 で 315 の直接ピア AS に対して、あえて異なる ORIGIN 値で経路を発表し、相手がその値をどう扱うかを実際に観測したの
  • 長距離経路分析:Cloudflare を含む信頼できる AS のセットを基準にして、AS_PATH の中で ORIGIN 属性がどこで変化しているかを追跡したんだって
  • データソース:RIPE RIS や RouteViews といった公開データに加えて、Cloudflare 独自の BMP(BGP Monitoring Protocol)収集データも活用しているよ

具体的な数値も盛りだくさんだったの。

  • 全体の経路のうち、IGP が 89.8%、EGP が 3.5%、INCOMPLETE が 6.7% を占めている
  • 直接ピアの約 10% が ORIGIN の書き換えを実施していた
  • 可視性のあった 606(全 802 中)の AS のうち、64 の AS(約 10.6%)が IGP への書き換えを行っていた
  • 上位 50 AS のうち 26%、上位 100 AS のうち 20% が書き換えを実施していて、規模の大きい AS ほど書き換えを行う傾向が見られたんだって
  • Tier-1 の ISP 16 社のうち 6 社(37.5%)がこの書き換えを行っていた
  • ORIGIN を IGP に書き換えることで、IPv4 では追加で 12 経路(18% 増)、IPv6 では追加で 33 経路(40% 増、うち 11 経路は Tier-1 経由)を新たに獲得できていたんだって

こうした数字から、大手 AS ほど積極的に ORIGIN 属性を操作していて、それが実際にトラフィックの流れに影響を与えていることがよくわかるね。

まとめ

  • BGP パスの約 70%(IPv4)・約 67%(IPv6)で ORIGIN 属性が IGP に書き換えられていた
  • 書き換えの目的はトラフィックを自社経路に誘導し、収益を確保すること
  • Tier-1 の ISP 16 社中 6 社を含め、規模の大きい AS ほど書き換えを行う傾向がある
  • 書き換えによって IPv4 で 18%、IPv6 で 40% もトラフィック誘導効果が増えていた
  • Cloudflare は ORIGIN 属性の経路選択への影響を減らす非推奨化と、ベンダー実装の統一を提案している

ネットワークエンジニアや ISP・トランジット事業者の運用担当者、BGP の仕組みに興味があるみんなにとって、経路選択の裏側を知れる読み応えのある調査結果だよ!